■鉛フリーはんだ
1.はじめに
●鉛フリー化の背景

はんだ合金(Sn-Pb系)は、古代よりはんだ付け接合に用いられ、接合部の信頼性が良く融点が低いことから、作業性にも優れているという数多くの利点を持っています。
このような利点から「はんだ」は電気・電子機器の組立に多く使用されるようになりました。 ところが、これら電気・電子製品は、耐用年数の経過や新製品の登場で廃棄されるものが年々増加しています。
そしてこの廃棄物は不燃性のためそのままの形で放置されたり、粉砕して地中に埋められたりしているのが現状で、その製品に多く使用されている「はんだ」中の鉛が溶出し、地下水に混入したり河川に流れて、
何らかの形で人間に取り入れられ、その毒性が問題視されるようになってきました。世界中において環境問題がクローズアップされている最近では、はんだを使用している電子業界においても、
はんだに含まれる有毒な元素である鉛を規制する動きが生じています。そして、当然のことながら鉛規制が実施されると一般に使用されている鉛を含有するSn-Pb系はんだは使用できなくなります。
このような背景から、Sn-Pb系はんだの代替となる鉛フリーはんだの開発が必須となってきており、はんだメーカーを始めとして電子業界に大きな展開を見せています。
●鉛フリーはんだ材の必要特性と候補組成

Sn-Pbはんだの代替として、鉛フリーはんだ材に必要な特性を考えると、基本特性より融点がSn-Pbはんだに近いこと、電子部品の電極母材に良くぬれること、
信頼性の観点からは、合金自身の十分な機械強度、長期的な熱疲労特性、また使用フラックスの化学的、電気化学的な要素が絡む腐食、マイグレーション、作業性の観点から低不良率、保存安定性、最後に材料としての無毒性、資源の安定供給や価格にも繋がる経済性などの条件を満たすことを念頭に置き、合金選定が行われてきました。
1980年代多くの鉛フリーはんだ合金の研究がなされてきましたが、総合的に優れたSnとの共晶合金が最も注目されていました。下表はSn-Pb共晶はんだと各種Sn共晶はんだの特徴を示したものです。
| 共晶合金 |
融点(℃) |
長所 |
短所 |
| Sn-37Pb |
183 |
総合的に良好 |
熱疲労、
クリープやや不良 |
| Sn-0.7Cu |
227 |
機械強度良好
熱疲労、クリープ良好
他元素より低価格 |
高融点
ぬれやや不良 |
| Sn-3.5Ag |
221 |
機械強度良好
熱疲労、クリープ良好
長い使用実績 |
高融点
ぬれやや不良 |
| Sn-92n |
198 |
Sn-Pb共晶はんだ並の融点
機械特性良好 |
酸化が激しい
ぬれ劣悪
Znが母材と金属結合 |
| Sn-58Bi |
139 |
低融点
ぬれ良好 |
高温使用は不可
機械強度不安
ボイド多発 |
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それぞれに長所と短所があり、このままの合金ではSn-Pb共晶はんだの代替材としての実用化は困難でした。そこに第1、第2の元素を添加することにより、特性を改善したものが、現在までに実用化されてきた鉛フリーはんだになります。いずれの鉛フリーはんだもSn-Pb共晶はんだに比べ、優れたところも、劣ったところもあることを理解して総合的に使いこなしていくことが必要です。

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